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これですべてが台無しですよ

 投稿者:はまだとしあき  投稿日:2009年 3月15日(日)15時55分24秒
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  ヘンシュウ学校を続けます。
「目からウロコ」の出来事はいくつもあったのですが、さらに小さな奇跡が起きたのではないかと思ったこともありました(少しオーバーですが)。
マツオカセイゴウ氏は自らの「千日回峰」として、2000年2月から2004年7月まで、土日をのぞく毎日本を一冊取り上げて紹介する[千夜千冊]をネット上に掲載しました。いまも[千夜千冊・遊蕩編]として続いています。

これを手本に「知文術」、一冊の本について800字で創文せよ というお題が出ました。私は『二人で紡いだ物語』(米沢富美子 朝日文庫)を選びました。もう4年も前になりますが、2005年にこの掲示板にも投稿した本です。私のものは「この本は面白いよ!例えばこんなところ」と引用が中心で、自分の下手な感想や解説などは余分、その著書に語らせるという文章です。

しかし、その回答はあまりにオソマツ、ですが恥を忍んで以下コピペします。続いて、長くなりますが、師範代の指南→再回答→再指南→再々回答と続けます。

①<ハマダ 第1回回答>
□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■
著者は第4回猿橋賞受賞の物理学者。若い
頃留学した「英国の大学の図書館は24時間オ
ープンで、いつでも利用できる。私も時間を
忘れて夜中の1時、2時まで図書館で勉強し
た」とか「英国の学生たちに混じって、ロシ
ア語の授業を英語で受けるのは二重苦だった
が、試験で一番をとって先生にほめられた」、
「アモルファス理論にたどり着いたときの喜
びは忘れることができない。もう何日も寝不
足状態が続いていたが、あともう一つブレー
クスルーが必要だと考えつくしていて、ベッ
ドに入る気になれなかった。何夜目かにやっ
と全容が見えたとき、私は興奮のあまり身体
が震えてとまらなかった。今この瞬間に、世
界中でこれを知っているのは私だけだと思う
と、息をするのさえ恐いような気持ちになっ
た」などの部分を読むと、こちらも興奮して
くる。
 一方で大病。若いころの胞状奇胎、十年前
の子宮摘出、乳ガンの2回の手術と文字どお
り満身創痍。「片方の乳房の摘出を行うと、
上半身の四分の一がなくなるといわれ、両方
の乳房の全摘出をしたのだから、上半身の半
分がなくしたことになるそうで、心が痛む。
「入院から手術までの一週間、検査の合間や
夜中にひたすら論文を書き続けた。就寝時間
の9時をはるかにこえて深夜まで仕事をして
いて、巡回の看護婦さんに何度も注意された。
最終的には手術の前夜は午前一時まで仕事を
して論文を仕上げることができ、これで何が
おきても心残りはないと思った」、「手術後
48時間の苦しみは筆舌につくしがたいが、三
日目からは病室で仕事を始めた」。
 大学の先輩でもあるご主人(96年病死)へ
の愛情も深く、胸に迫る。
 05年3月、パリのロレアル・ユネスコ女性
科学賞の授賞式で「女性の直感と辛抱強さは、
本来、科学者に向いているのです」と挨拶す
ると、千人近い聴衆から大きな歓声が沸いた。
米ハーバード大学長の「科学や数学の分野で
活躍する女性が少ないのは、生まれつき苦手
だからだ」という発言で、女性と科学をめぐ
る大論争が起きていて、「良識ある男性はち
ゃんとわかってくれるから、安心して科学の
世界へ」と続けると、聴衆はあらためて拍手
で応えたそうです。    (46行)

②師範代の【指南】(前半略 途中から)
今回のドラフトは本の内容のまとめですね。実際の知文では、これらの内容をさらに凝縮し、読み手も意識してハマダさんなりの言葉にしてみてくださいね。引用は選びに選んで使おうね。

守の編集稽古032番:鍵と鍵穴の言葉 を思い出して下さい。キーワード、ホットワードを取り出し、ニューワードをつくってもらいましたね。選んだ本の魅力をわかりやすく、かつ力強く伝える言葉を吟味してくださいませ。その上で、ハマダさんと本との関係、ハマダさんの読み込みを見せてください。

 1)本との出合いは?
 2)なぜ、ハマダさんはこの本を選んだの?
 3)初読の時はどう思ったの?
 4)今読み直してどう思う?

まずはこの4つを文章にしてみましょう。創文にうまく盛り込めなかったら資料として見せてください。その上で、ハマダさん、本、作者の3つの関係を描き出して行きましょう。今回は細かいことは言いません。ハマダさんの読みを見てから構想を練っていきましょうね。

> 私の<振り返り>
> 著書の内容が豊かなので、800字ではその紹介に徹し、それも著者の文章で十分で、
>私の下手な要約や言い換えは邪魔で余分ではないかという思いがあります。

▼(上のハマダの振り返りに対して、師範代は)
そういう情報はまぐまぐなどの、本の紹介のメルマガなどを見るとあります。ですから、編集学校でする必要はありません。

セイゴオ知文術は、書評でもなければ、本の紹介でもありません。感想文もやめましょう。モード文体術、知文術の2つの編集術をつかって、1冊の本を「再編集」するという稽古です。これはハマダさんの作品なのですよ。ハマダさんがどう本と対峙したのかを見せてください。

ハマダさんの読みを見せてください。読者はそれが見たいのです。単なる要約ならWEBにのっています。

③私の<再回答>(下の >部分)および師範代の【再指南】▼
□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■
> 数年前にNHK人間講座で米沢富美子さん
> の「20世紀の物理学」を偶然に視た。「これ
> までわからなかったことを全く新しく解き明
> かす作業は、わくわくするような楽しい仕事。
> 体中の血が沸き、文字どおり寝食を忘れて研
> 究に打ち込む日が今も続いています」と聞き、
> 「へ~、物理学がそんなに面白いの」と驚く。
> 私は高校時代、その難解さに早々に投げ出し、
> その後は無縁。番組はアインシュタインから
> ホーキングまでの科学革命をやさしく語って
> 興味深かったが、この本でまた驚く。


まずは第一段落はハマダさんとこの本の出会い。

> 著者は、新婚の頃、海外赴任した夫を追っ
> て英国留学。「大学の図書館は24時間オープ
> ンで、いつでも利用できる。私も時間を忘れ
> て夜中の1時、2時まで図書館で勉強した」
> とか「この理論にたどり着いたときの喜びは
> 忘れられない。もう何日も寝不足状態が続い
> ていたが、あともう一つブレークスルーが必
> 要だと考えつくしていて、ベッドに入る気に
> なれなかった。何夜目かにやっと全容が見え
> たとき、私は興奮のあまり身体が震えてとま
> らなかった。今この瞬間に、世界中でこれを
> 知っているのは私だけだと思うと、息をする
> のさえ恐かった」などを読むと、こちらも興
> 奮してくる。


作者の言葉を使って物理学の研究の面白さを伝える段落のはず。ここで問題です。いままでに引用は3箇所あります。師範代はその意味するところを要約すると
 引用1:物理学研究は寝食を忘れるほど楽しい
 引用2:物理学研究には寝食を忘れるほど熱中した
 引用3:物理学研究では眠れないほど興奮した
いかがでしょうか。

ハマダさん、まだあと3回は推敲できます。ここは冒険しましょう。次の回答では引用禁止。一回禁じ手にしてみると、引用の仕方がわかります。

> 一方で大病。子宮摘出や秘かな自慢のEカ
> ップの両乳房摘出など、満身創痍。さらに最
> 愛の夫を失って、身も心も生死の間を何度も
> さまよう。


第3段落は作者の紹介

> 3人の娘を育てながら、世界に知られる研
> 究業績。数々の国際学会を見事に仕切り、「
> 日本の鉄の女」と国際的に渾名され、女性初
> の日本物理学会会長。写真を見ると、誠にチ
> ャーミング。物語は痛快、爽快、壮快。「ス
> ーパーウーマンのスーパー人生」(立花隆)
> に圧倒されどうし。


第4段落は知文+感想。


「物語は痛快、爽快、壮快。」こういうフレージングはのうとみ(師範代)大好き。

> この本を読む人はきっと、何度も涙がこみ
> 上げ突き上げ、力や勇気をもらえると思うが、
> 私には壮大な「のろけ本」とも思えた。こん
> なすごい人もいるんですね。(40行)


第5段落まとめ。
「私には壮大な「のろけ本」とも思えた。」これがハマダさんの芯ですね、ハマダさんならではの視点ですね。これを待っていたのです! 来ましたね。おめでとう。

ここにすべてをこめましょう。物理学へののろけ?だんなへののろけ?これだけでは伝わらないので、次の回答は以下のタイトルで全面的に書き直しましょう。
「『二人で紡いだ物語』というのろけ本」
どうしてこの本は「のろけ本」なのかを読者に伝えてください。ここまでくれば、大丈夫。期待してます。

最後に
> こんなすごい人もいるんですね。


これですべてが台無しですよ。
800字かけて伝える、800字かけないと形にならないものを創文するのです。

1-06番の指南を引用します
 | いきなりまとめが入りましたね。
 | ここはいらない。つまらない総括は創文の敵です。
 | 概括を言わなくても伝わるように600字かけて紀行文を書くのです。
 | まとめが意味をなすような状態は紀行文が機能していない場合です。
 | その時はまとめに逃げるのではなく、文章を書き直しましょう。

 ハマダさん、つまらない総括を書きたくなるのは今まで書いた文章にご自分で納得していないからですよ。こういうことを最後で書きたくなったら、潔くすべてを捨てて最初から書き直しましょう。一回全部捨てても、本当に大事なことは書いた指に、読んだ目に、そして脳みそに残っています。ハマダさんの身体を信じてあげてください。

このあと、私の再々回答→再々指南→再々再回答→再々再指南があり、以下の最終回答になります。再々再回答以降は微調整ですみましたので、最終回答をコピペします。

④<私の再々々再回答>
□□□□■□□□□■□□□□■□□□□■
これまでわからなかったことを新しく解き
明かすのは、わくわくするほど楽しい仕事で、
体中の血が沸く。数年前、NHK人間講座
「20世紀の物理学」で米沢富美子さん。高校
時代、その難解さに早々に投げ出した私はび
っくり。番組は科学革命をやさしく語って興
味深かったが、この本でまた唸った。
 若き日、物理学を続けるか結婚かに悩む著
者に、夫は「両方とることを、どうして考え
ないの?」。目から鱗。そうか!惚れたもの
は、この手で獲りにいっていいのだ。
 新婚間もなく海外赴任した夫を追って英国
留学。24時間オープンの図書館で夜中の1時、
2時まで勉強、休暇は二人でヨーロッパ中を
旅行する。28歳のとき出世作となる論文発表。
3人の娘を育てながら、次々に世界に知られ
る業績を挙げる。数々の国際学会を仕切り、
その豪腕も評判に。猿橋賞受賞、女性初の日
本物理学会会長。
 一方で大病。子宮摘出に加え、秘かな自慢
のEカップの両乳房摘出など満身創痍。さら
に、いつも側にいて励まし支えてくれた最愛
の夫が逝く。茫然自失、身も心も生死の間を
さ迷う。生きているのが不思議で、息をする
のも苦しく、毎日泣いていたが、請われて、
夫との想い出を書き始める。すると「遠くへ
旅立ったと思っていた夫が、そっくりそのま
ま私の心に帰ってきた。どこにも行っていな
かった。心の中に生きていた」。物語を紡ぐ
ことで、夫を取り戻した。
 写真を見ると小柄で、目元ぱっちり、チャ
ーミング。物語も世界的な物理学者とは思え
ない傑作な物言い、エピソードも楽しく、爽
快・痛快・壮快。「スーパー・ウーマンのス
ーパー人生」(立花隆)に圧倒される。
 この本を読む人はきっと、何度かこみ上げ、
力や勇気をもらうだろうが、私には夫と娘た
ち、物理への壮大な「のろけ話」にも思える。
あの世で再会したとき「いい女になったなあ」
と言われたいと、米沢さんは最後まで可愛い。

以上のように、初回答から最終の再々々再回答に至るのですが、私には師範代の指南および自分の変化が大変衝撃的でした。初回答と比較すると、まるで子どもの作文をお父さんが書き直してあげたくらいの差があります。

「これですべてが台無しですよ」には、さすがに私もカーッ!ときて、「このやろう!」と怒りました(当たっているから、なお腹が立つ)。師範代は38歳の、これが大変な美人。野郎ではないので混乱してしまいました。
 
 
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